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相談事例
脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血などでお困りの方が障害年金を申請する場合、いくつかのポイントがあり、しっかり確認した上でないと等級の認定につながりません。
手足、顔の片方の麻痺(まひ)や痺れ(しびれ)
感覚が鈍くなる
立てない、歩けない、階段の昇降もしんどい
フラフラする(失調)、平衡感覚がなくなる
言語障害の発生
視野の半分が欠け、片方の目が見えなくなる
頭痛がする
初診日は通常は救急車で搬送された日になります。初診日がはっきりしないと請求すらできません。医療機関で受診状況等証明書(初診日の証明書)を取ることから作業を始めます。
初診と思われる医療機関に問い合わせしたところカルテが破棄され、いつ受診したか確認できないケースも頻繁にあります。
心臓病ー特に心房細動をお持ちの方は、脳卒中で救急搬送された日ではなく、心房細動のため受診した初診日が脳卒中の初診日になります。因果関係のある病気・けがで最初に受診した日が「初診日」になります。心房が小刻みに震える心房細動が起こりますと、心臓内に血栓ができやすくなり、この血栓が脳の血管まで運ばれるために脳内の血管が詰まり脳梗塞になります。(心原性脳塞栓症)
尚、高血圧症や糖尿病は医学的には脳卒中と因果関係があると考えられていますが、障害年金の請求上は相当因果関係なしとして取り扱われます。
また脳梗塞が複数回あった場合には、一連のものなのか、脳内の全く別の場所での梗塞かどうかも確認する必要があります。脳卒中のパターンによりそれぞれ初診日や障害認定日の取扱い方が異なりますので、詳しくは上島社会保険労務士までお問い合わせください。
障害年金受給のための4つの条件はこちらをクリック
通常は20歳から初診日までの期間の納付要件が問題になります。ずっと厚生年金加入中であれば未納はないですが、初診日当時が国民年金加入中の場合は、初診日までの本来年金保険料を払うべき期間の中で、未納期間が1/3未満であることが必要です。
なお、特例措置として、初診日までの直近1年間に未納がなければ、障害年金の申請が可能となります。
保険料の納付要件はこちらをクリック
障害厚生年金の場合1級から3級、
障害基礎年金の場合1級~2級に該当していることが必要です
脳卒中の障害年金については、日常生活における動作の障害の程度が問われます。
脳血管障害や脊髄損傷など、障害が上肢~下肢など広範囲に及ぶ障害の場合、「肢体の機能の障害」として審査されます。
日常生活における動作の障害が補助用具を使わないでどの程度なのかが重要なポイントになります。
常時車いすの方、施設に入院中の方ー1級相当の可能性
「身体の機能の障害、又は長期にわたる安静を必要とする病状前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁することを不能ならしめる程度のもの」が1級の基準です。
①一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの、又は
②四肢の機能に相当程度の障害を残すものが1級のレベルです。
具体的には、1級レベルは、常時車いすの方、施設に入院されている方が想定されます。
日常生活が著しい制限を受ける方ー2級相当
「身体の機能の障害、又は長期にわたる安静を必要とする病状前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの」が2級の基準になります。
①一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
②四肢に機能障害を残すものなどです。
労働が著しい制限を受けている方ー3級相当(厚生年金)
「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限をくわえることを必要とするもの」が3級の基準になります。
具体的には、一上肢及び一下肢に機能障害を残すものが該当します。
なお、障害等級は認定医により総合的に判断されます。診断書の一部記載のみをもって等級が決められるわけではありません。
通常は初診日から1年半経った時(障害認定日といいます)に申請可能となります。
しかし、初診日から半年以上経ってから、かつ1年半以内に症状が固定したと主治医が判断された場合には、初診日から1年6か月を待たずに、症状が固定された日を障害認定日として請求できる場合もあります。
症状固定とは、これ以上機能の改善・回復の見込みがないー治療の効果が期待できない場合を症状固定とみなされます。
機能回復を目指したリハビリテーション中であれば症状固定とみなされません。リハビリテーションをなさっておられても目的が機能回復を狙ったものなのか、現状維持を目的としているかにより判断が異なります。単に初診日から6か月経ったからと言って診断書を書いていただいても通る確率は低いです。
6か月経過後の症状固定の認定は、現在の審査ではかなり厳しくなっている状況です。
症状が固定されておられない場合は、通常の障害認定日(初診日から1年6か月後)でのご請求となります。
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通常患者さんは複数の病院を受診されておられます。
1救急搬送された病院
2手術を受け入院した病院(1か月程度)
3リハビリテーションを主に行った病院(5か月程度、もしくはそれ以上)
4内科的治療(投薬)を受けている一般内科の病院
通常は2の手術をした病院、もしくは3のリハビリを受けた(受けている)病院で診断書を書いてもらうことになります。
但し、2の手術をされた病院の場合、約1か月前後の入院後、退院して受診の空白期間が半年以上できていることが多いです。診察にブランクのある当時の主治医に、現在(症状固定した時)の障害状態を改めて説明したり、筋力や関節可動域の測定をしっかりやっていただく必要があります。
3のリハビリ病院で診断書を書いていただく際は、発病から手術を行った日付など、前の病院の状況を主治医に伝えておく必要があります。
4の一般内科の先生の場合、関節可動域や筋力の測定がご自身でできないことが多いのでご注意ください。
病歴・就労状況等申立書も重要資料です
1 カルテの破棄
初診日がかなり昔で、廃院になっていたり、カルテが破棄されている場合は申請もできません。通常受診が終わってから5年経つと、医療機関としてはカルテを破棄することが可能となりますので、多くの医療機関で昔のカルテが処分され残っていません。
2 病歴・就労状況等申立書の記入
患者さん(相談者)がかかれる病歴・就労状況等申立書も審査上重要な書類です。おろそかに書いたり、ポイントがずれたりしていると目標とする等級に届かないことがあります。
3 診断書の記載内容の確認
主治医は、お忙しい中診断書を書かれるので、記入漏れなどのため一回では診断書すべてを書ききれないことが多々あります。A3の大きな診断書シートの両面に記述していただく必要があります。未記入のところを追加記入いただいたり、日付の訂正その他のご依頼をすることも多いです。
4 障害認定日がいつになるのか
障害認定日の判断は個人では難しいと考えます。初診日から1年半以内に症状が固定されていると主治医が判断されているのか、リハビリはどのような内容で受けておられるのかによって障害認定日が変動します。障害年金専門の社会保険労務士に委任されることが無難です。
5 審査は個別判断
同じような病気なら他の方と同じ等級認定になるとか、同じ内容の書類で大丈夫というわけではありません。この辺が障害年金の申請で一般の方々が悩む点でもあります。
6 その種類の診断書が有効か
脳卒中の場合、肢体障害(上肢、下肢の麻痺)だけではなく、高次脳機能障害(記憶障害、注意障害、失認、失語症等)や言語機能障害を併発される方もおられます。
この場合は、肢体障害の診断書だけではなく精神の診断書や言語機能の診断書を取得いただくこともあります。なぜなら場合によっては併合認定が認められる場合があります。
1 調査の上、初診日を確認します
初診の病院が廃業していて初診日がはっきりわからない、カルテが破棄されている場合でも専門家である上島社会保険労務士に依頼されますと、調査の上初診日が確定できるケースが結構あります。
2 病歴・就労状況等申立書の作成
審査の対象となる病歴・就労状況等申立書も、適切な内容で上島社労士が作成いたします。ポイントがずれたりすることはありません。
3 診断書の確認作業
診断書の記載内容を年金事務所に提出する前に確認させていただきます。場合によっては追加記入などの修正依頼を医療機関にかけることもあります。
4 障害認定日の確認
リハビリの内容や症状固定の日付などを確認したうえで、障害認定日を判断し、そのうえで主治医に診断書のご依頼をさせていただきます
5 ヒアリングをしっかり行い申請
障害年金の審査は個別判断ですので、それぞれの相談者(患者)様ごとにヒアリングをしっかり行い最も相談者の方々にメリットのある請求方法を検討していきますのでご安心ください。
脳卒中の後遺症としては以下のものがあります。
片麻痺、しびれ、失語(話せない)、飲み込めない等
さらに、高次脳機能障害もあります。例えば、注意障害(注意散漫)、失行(服の着方がわからない)、無視(左側を見落とすなど)、行動障害(怒りぽくなる等)
脳卒中の障害年金については、多くの方々からサポートのご要望を頂いています。
当事務所でサポートさせていただいた事例を紹介いたします。
脳梗塞、脳出血、脳挫傷による肢体障害、言語機能障害なども対応させていただいています。
<治療経過と障害状態>
脳梗塞のため、救急車で病院へ運ばれました。その後は順調に回復しましたが、6か月で症状が固定し、これ以上は機能回復が困難な状態になりました。
現在は、杖を使い外出しています。おはしを持てない為スプーンを利用している状態です。就労も困難な状態で会社員を辞められました。お話を伺い、肢体障害に絞って請求を進めてきました。
<成功要因>
①依頼状を添えて診断書の依頼を行う
診断書を記載頂く際に依頼状を添えて依頼しました。日常生活の制約や就労が困難な状態を記載しました。
②肢体障害の診断書に絞り申請
脳梗塞を患った方は、言語機能障害や高次脳機能障害を患っておられる方もおられますが、今回は肢体障害以外の障害はなかったので、肢体の診断書1枚で申請いたしました。
③6か月後に症状固定していた
機能回復のリハビリが終了した旨のコメントを診断書に記載いただくことができました。
初診日から6か月経ち、症状固定と主治医が判断された場合でも、東京の障害年金センターの認定医は症状固定と認定せず却下にすることが多い状況です。(その場合は初診日から1年半経った時点で再申請することになります)
➃老齢厚生年金と比較し、金額の高い障害年金を受給
すでに特別支給の老齢厚生年金を受給中でしたので、障害年金と比較してどちらが有利か検討の上選択いただくことになりました。
<治療経過と障害状態>
平成27年8月に嘔吐、下痢、意識が急になくなりました。堺市内の救急病院へ救急搬送されました。同日手術をし、脳室のドレナージをしました。脳内出血の診断でした。ICUに3日間入院し、意識が戻りました。平成27年9月に退院しました。
同日にリハビリ中心の病院へ移りました。かなり出血がひどく、栄養剤をチューブで鼻から入れました。かなりハードなリハビリを1日3時間行いました。平成28年2月に退院しました。
その後は1か月1回程度受診し、投薬を受けています。尚、平成28年3月から自宅付近の訪問介護・デイサービスの施設に行きました。3日に1回程度装具をつけて歩く練習やマッサージ(ストレッチ)を受けています。1か月のうち23~24日間通っています。
<成功要因>
①医師に症状固定しているかどうか確認できたこと。
当初、初診日から6か月後に問い合わせを受けましたが、症状固定されていない様子でしたので、医師が症状固定というまで申請は困難と説明しました。
②症状固定日が初診日から1年半たった日付と同一であった。通常の障害認定日請求を実施
結局症状固定日は、初診日から1年半経った時期になり、その時を障害認定日として診断書を主治医に記入いただきました。車いす生活と言語障害をお持ちでした。
③2つの種類の診断書を提出
肢体障害と言語機能障害がありましたので2つの診断書を依頼しましたが、肢体障害の診断が一番重い状態で記載されていました。
➃障害基礎年金1級
1級をもらえホッとしています。現在は車いす生活を余儀なくされ、病院へ行くにもご家族に車に乗せてもらって通院しています。1級の障害状態で認定を受け、ご家族も満足されておられました。
<治療経過と障害状態>
自宅で突然意識障害が生じ、平成28年10月 八尾市内の病院へ搬送されました。脳梗塞の診断を受けました。11月1日に八尾市の別の病院を紹介され入院し治療を受けました。(血栓溶解療法、血管内治療)平成29年に退院しましたが、職を失われました。
現在も就労はできません。その後リハビリクリニックにお世話になっています。
高次脳機能障害の症状として、怒りっぽく感情の起伏が激しい状態にあります。言語機能障害(言葉が出ない)、肢体障害(右半身が不自由、特に右の手)もあります。
<成功要因>
①2枚の受診状況等証明書で初診日を確認
脳梗塞で救急搬送された病院で、初診日の証明を取得しましたが、前医ありの受診状況等証明書でした。そのため前医の記載のある病院で再度受診状況等証明書を取得することになりました。心筋梗塞を発病し、運ばれたいきさつが記載されていました。しかし心筋梗塞と脳梗塞は通常相当因果関係が無いと判断されますので、脳梗塞の申請の場合は、2番目の医療機関ー脳梗塞で運ばれた病院を初診の病院として請求しました。
②3つの障害のうち重い2つ障害で診断書を依頼
障害は高次脳機能障害、言語障害、肢体障害と3つの障害をお持ちでした。しかし肢体障害については軽い状態でしたので、高次脳機能障害と言語障害に絞って2種類の診断書を主治医に依頼しました。
③年金期機構の要望に応じ、追加資料を提出
審査の途中で差し戻しがあり、資料を追加で年金機構に提出したりしましたので審査機関は4か月以上かかってしまいました。
➃障害厚生年金2級獲得
無事に障害認定日請求が認められ、障害厚生年金2級がもらえました。
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